
東洋医学では、自律神経失調症とは、全身の臓器諸器官のバランスが乱れ始めた状態に当たります。
東洋医学に基づく鍼灸治療は、身体全体のバランスを診るのが基本中の基本です。一つ一つの症状を別々に診るのではなく、全身を診て治療いたします。
鍼灸は自然治癒力を向上させるのに大変適しており、自律神経失調に対応することができます。
このような症状でお悩みの方
- 目が疲れやすい
- のどのつまりを感じる
- 動悸、胸部圧迫感、めまい、立ちくらみ、のぼせ、冷え、血圧の変動を感じる
- 息苦しい、息がつまる、息ができない
- 手や足がしびれて痛い
- 力が入らない
- 全身がだるい
- 不安になる、恐怖心におそわれる、イライラする、落ち込む、怒りっぽくなる、集中力がない、やる気がでない、些細なことが気になる、記憶・注意力の低下、悲しくなる
自律神経には「交感神経系」と「副交感神経系」の二つの神経が存在します。全身のほとんどの器官はこの二つの神経系がバランス良く働くことで適正に保たれています。 呼吸・血液循環・消化吸収・排泄・生殖・内分泌など、自分の意志ではコントロールできない部分のシステムを調整し、生命維持に必要な体内循環を整えるのが自律神経の役割です。 こうした自律神経がうまく機能しなくなった状態が、自律神経失調症です。自律神経をコントロールする中枢は視床下部という脳の一部です。ここは同時にホルモンの分泌中枢の役目もあるため、急激なストレスを受けて自律神経のバランスが崩れると、成長ホルモンや性ホルモンなどのホルモン分泌にも影響がでてきます。 また反対に、更年期に生じる、急激なホルモンバランスの変化は「火照り・冷え・不眠・精神不安」などの自律神経失調症状をもたらすことにもなります。
生活リズムの乱れ・過度なストレス・ストレスに弱い体質、性格・環境の変化・女性ホルモンの影響など、いろいろな原因が複雑にからみあっていると言われています。
自覚症状があるのに検査しても異常が見つからないとき、自律神経失調症と診断づけるケースも残念ながら少なくありません。

東洋医学では、自律神経失調症とは、全身の臓器諸器官のバランスが乱れ始めた状態に当たります。
従って、臓器諸器官の乱れを整えることによって、自律神経の乱れを治す、つまり心の病を治すというのが鍼灸治療の考えであるのです。自律神経失調症と言われる症状の多くは内臓や脳の機能低下で起こります。
最近の研究では、「気持ちいい」という快刺激が脳内のβエンドルフィン等の神経ペプチドの分泌を活性化させ、自律神経の機能を正常化させる働きがあることが分かっています。
鍼やお灸の気持ちの良い治療を受けた後、ふぅっと楽になるのは、治療の気持ちよさがβエンドルフィンを活性化させ、自律神経の働きを効果的に和らげるからなのでしょう。
自律神経失調症は、肩こり・冷え性・不眠症・下痢・便秘・食欲不振やどの場所が悪いかはっきり分からない「不定愁訴」などの症状を一緒に伴っている場合が多くみられます。
当院では、患者さんがその時に抱える具体的な症状に合わせて治療しております。
自律神経失調症に用いられる代表的なツボ
自律神経を調整して、イライラなどの症状を改善させるツボには曲池(きょくち)や神庭(しんてい)、労宮(ろうきゅう)があります。気力が衰えている人には天柱(てんちゅう)、風池(ふうち)、足の三里(さんり)、太谿(たいけい)が有効です。
天柱(てんちゅう) | 首の中央の太い筋肉の両側で髪の生え際 |
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風池(ふうち) | 天柱から指1本分、外側 |
神庭(しんてい) | 顔の中央のライン上で、髪の生え際から1つ上 |
曲池(きょくち) | 腕を直角に曲げた時、ひじの内側にできるしわの先端 |
労宮(ろうきゅう) | 手のひらのほぼ中央 |
太谿(たいけい) | 内くるぶしとアキレス腱の中間 |